2020.04.08
免税システム

承認送信事業者とは?リファンド方式の概要と免税システムの導入前に確認するポイント

承認送信事業者とは?リファンド方式の概要と免税システムの導入前に確認するポイント

2020年4月1日に施行された「免税販売手続きの電子化」。

 

電子化によって、これまでは書面で行われていた購入記録票の作成や、パスポートへの貼付・割印などの手続きが廃止され、より効率的な業務が可能になりました。

 

しかし、免税販売手続きの電子化を行うには、電子化に必要なインターネット環境整備などの他に、「承認送信事業者」として承認されるか、事前に承認送信事業者と契約するかを選ぶ必要があります。

 

この記事では、「承認送信事業者」とは何か、そして2026年(令和8年)11月1日から実施される「リファンド方式」への対応も含め、免税システム導入前に知るべきことを解説します。

 

近畿システムサービス(KSS)が提供している外国人旅行者等向け免税対応システム「Taxtis」は、これらの要件を満たし、リファンド方式にも対応予定です。ぜひ参考にしてください。

近畿システムサービス管理部

近畿システムサービスは、店舗のトータルな提案を行うシステム開発会社です。免税システム、RFIDソリューション、電子署名等、多くの業種システムの開発実績がありますが、特に流通関連のシステムでは多数の実績とノウハウがあります。

承認送信事業者とは

承認送信事業者とは、免税販売手続きの電子化のために新たにできた名称で、後述する承認要件をすべて満たす課税事業者のことです。

 

承認送信事業者となることで、それまで書面で行われていた購入記録票の手続きを電子化することが可能になります。

 

あるいは、承認送信事業者と契約を締結することで、自らが購入記録情報を提供せずに手続きをすることも可能です。

 

この場合、免税システムを提供する事業者がこの承認を受けていると、システム導入により自動的に購入記録情報の送信が可能になります。免税店は自ら申請や設備投資を行う手間を省くことができ、業務負担が軽減されます。

承認送信事業者による購入記録情報提供の流れ

次に、承認送信事業者による購入記録情報提供の流れについて理解しておきましょう。

 

  1. 事前に承認送信事業者と免税店で契約し、必要な情報を共有
  2. 外国人旅行者等と免税店の取引
  3. 承認送信事業者者が国税庁へ購入記録情報を提供

 

このような流れで承認送信事業者によって購入記録情報の提供が行われます。

 

なお、承認送信事業者は、提供した購入記録情報を既定の期間保存することが義務付けられています。

リファンド方式への対応と承認送信事業者の新たな役割

リファンド方式への対応と承認送信事業者の新たな役割
2026年11月1日以降は、免税手続きが「リファンド方式」へ変更されます。リファンド方式とは、旅行客が商品購入時にいったん消費税を支払い、出国時にまとめて還付を受ける方式のことです。

 

リファンド方式では、承認送信事業者の役割はさらに重要になります。ここでは具体的な内容を詳しく解説します。

購入記録情報 Ver.3 の取り扱い

リファンド方式への変更に合わせ、免税販売のデータ仕様は「購入記録情報 Ver.3」へ更新されます。承認送信事業者は、従来以上に正確で詳細かつ速やかなデータ送信が必須です。

 

旅行者の還付手続きは、税関での持ち出し確認と購入記録情報の照合に依存します。購入記録情報に不備が存在したり連携の遅延が発生した場合、税関での持ち出し確認が行えず還付不可となるリスクがあるので注意が必要です。

 

主な変更点は以下の通りです。

 

  • 登録取消区分・取消前送信番号・取消前送信者識別符号・取消前販売場識別符号の送信データ項目が追加
  • 単価100万円(税抜価額)以上の場合、シリアル番号や型番の登録が必須
  • 取消や修正処理は「洗替」による統一方式で対応
  • Ver.1やVer.2で送信したデータは税関確認対象外

 

これらの改正に対応するため、承認送信事業者は店舗の入力環境やPOSシステムを早急にVer.3仕様へ対応させる必要があります。

 

また、入力支援や自動チェック機能を強化することで、現場の負担を軽減しつつ誤送信を防ぐことが重要です。制度開始直後の混乱を回避するには、テスト環境での十分な検証も欠かせません。

 

参考:国税庁|免税販売管理システム改修の検討状況

 

店舗と税関・空港の橋渡し役

リファンド方式では、旅行者が消費税の還付を受けるために、「購入記録情報」と出国時の税関での持ち出し確認が一致することが必須条件となります。もし購入記録が国税庁システムに正しく送信されていなければ、税関での確認ができず、旅行者は還付を受けられません。

 

そのため、承認送信事業者には「店舗と税関・空港をつなぐ橋渡し役」として、次のような役割が期待されます。

 

  • 店舗で登録された購入記録情報を、正確にかつ速やかに国税庁システムへ送信すること
  • 税関側で行われた確認結果(確認済/免税不可)を取得し、店舗システムにフィードバックすること
  • データ送信の遅延やエラーを監視し、旅行者の還付に支障が出ないようサポートすること

 

特に、国税庁は「税関確認情報の返却API」を整備し、承認送信事業者が照会する仕組みを用意しています。このAPIを通じて、店舗は送信した購入記録に対する税関確認結果を取得し、還付可否を把握できるようになります。

 

したがって、承認送信事業者は「データの送信者」だけではなく、双方向で情報をやり取りし、店舗と税関の円滑な連携を支える存在へと役割を拡大していくことが必要です。

 

参考:国税庁|輸出物品販売場制度に関するQ&A (リファンド方式・概要編)

 

店舗支援機能の拡充

リファンド方式では、旅行者が購入時にいったん消費税を支払うため、店舗側の処理は課税販売として行われます。従来のように「一般物品と消耗品を区分してレシートを分ける」や「梱包を義務付ける」といった作業は不要となり、事務負担は軽減されます。

 

一方で、消費税分の旅行客へ事後の返金処理が必要になるため、承認送信事業者には店舗支援の強化が求められます。

 

具体的には、下記の流れを自動で実現するための仕組みの導入が必要です。

 

  • 購入記録情報の送信
  • 購入記録情報ごとの税関確認情報の取得
  • 旅行客への返金の実施

 

近畿システムサービス(KSS)が提供する外国人旅行者等向け免税対応システム「Taxtis」は、リファンド方式への対応を実施します。旅行者への返金の部分については別途決済代行事業社との連携が必要ですが、Taxtisの導入によりリファンド方式への変更後も店舗側・旅行者側双方においてスムーズな免税販売手続きを実施することが可能です。

 

承認送信事業者の承認条件

早速、承認送信事業者の承認条件について見ていきましょう。

 

承認条件

詳しい条件は以下になります。

 

●      現に国税の滞納(その徴収が著しく困難であるものに限ります。)がないこと

●      購入記録情報を適切に国税庁長官に提供できること

●      輸出物品販売場の許可を取り消され又は承認免税手続事業者若しくは承認送信事業者の承認を取り消され、かつ、その取消しの日から3年を経過しない者でないこと

●      その他購入記録情報を提供する承認送信事業者として特に不適当と認められる事情がないこと

引用元:国税庁|消費税の輸出物品販売場制度における免税販売手続が電子化されます

 

提供要件

承認送信事業者と契約を結ぶことで免税販売手続きの電子化に対応する場合、購入記録情報を提供するための要件があります。

 

●      輸出物品販売場を経営する事業者と承認送信事業者との間において、承認送信事業者がその輸出物品販売場に係る購入記録情報を国税庁長官に提供することに関する契約が締結されていること

●      承認送信事業者が購入記録情報を国税庁長官に提供することにつき、契約に係る輸出物品販売場を経営する事業者との間において必要な情報を共有するための措置が講じられていること

(注)手続委託型輸出物品販売場については、その販売場に係る承認免税手続事業者でも認められます。

 

引用元:国税庁|消費税の輸出物品販売場制度における免税販売手続が電子化されます

 

免税システム導入前に確認すべきこと

免税システム導入前に確認すべきこと
免税システムを導入する際には、導入コストや機能だけでなく、制度要件や将来の制度改正への対応力も重要です。店舗が安心して運用するために、次のポイントを必ず確認しておきましょう。

 

<承認送信事業者の承認を受けているか>

システム提供者が国税庁から承認を受けている承認送信事業者であれば、購入記録情報の送信を代行できます。そのため、店舗側で国税庁への直接申請やシステム開発を行う必要はありません。

 

ただし、購入記録情報を正しく入力し承認送信事業者に送信依頼する責任は、引き続き店舗にあります。

 

<リファンド方式に対応しているか>

2026年11月1日以降は、リファンド方式が新たに導入されます。今後も継続して利用できるよう、必ず制度改正後に対応できる仕組みを備えているかを確認しましょう。

 

<操作性やサポート体制が充実しているか>

現場スタッフが直感的に操作できるシステムであることはもちろん、導入後もトラブルや制度変更に対応できるサポート体制が整っていることが重要です。安心して長く使えるシステムかどうかを見極めましょう。

 

「Taxtis」でスマートな免税業務を実現

近畿システムサービス(KSS)が提供する外国人旅行者等向け免税対応システム「Taxtis」は、免税販売手続きの電子化から、2026年11月に導入予定のリファンド方式まで幅広く対応しています。

 

Taxtisは、パスポートを置くだけで自動読み取りが可能な据置き型と、省スペースに適したハンディ型の両タイプを用意しており、現場環境に応じた運用が可能です。すでに免税システムを導入して購入データを管理している場合には、国税庁とのデータ連携だけを行うAPIの提供も行っており、既存環境を活かしながら制度改正に対応できます。

 

「Taxtis」に関する詳細はこちら

 

まとめ

2026年11月に導入されるリファンド方式は、旅行者が購入時に消費税を支払い、出国時に税関で確認を受けたうえで還付を受ける仕組みです。この制度に対応するためには、購入記録情報 Ver.3 の送信や税関確認情報の照合といった新たな要件を満たす必要があり、承認送信事業者の役割はこれまで以上に重要になります。

 

店舗にとっては、信頼できる承認送信事業者を選び、使いやすく将来の制度改正にも対応できる免税システムを導入することが不可欠です。

 

近畿システムサービス(KSS)が提供する外国人旅行者等向け免税対応システム「Taxtis」は、承認送信事業者として国税庁の承認を取得済みで、リファンド方式にも対応予定です。

 

パスポート自動読取機能や既存システムとのAPI連携にも対応しており、免税販売の電子化から将来の制度変更までワンストップで支援します。制度改正に備えて安心できる環境を整えるために、ぜひ近畿システムサービス(KSS)の「Taxtis」をご検討ください。

 

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