2023.05.30
店舗管理システム

小売業はAIを導入するべき?【メリットや活用事例も紹介】

本記事では、小売業がAIを導入するべき理由やメリットと併せて、注意点を解説します。結論を申し上げると、小売業を発展させるためにはAIは必須です。そこで本記事では、小売業はどのようにAIを活用しているかも含めて、活用事例も業種別でそれぞれご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

近畿システムサービス管理部

近畿システムサービスは、店舗のトータルな提案を行うシステム開発会社です。免税システム、RFIDソリューション、電子署名等、多くの業種システムの開発実績がありますが、特に流通関連のシステムでは多数の実績とノウハウがあります。

小売業のAI導入率は?

統計によると、日本の小売業のAI導入率は2020年の時点で15%以上を占めており、今後はさらにAIの導入が進むと予測されます。小売業界は、少子高齢化による人手不足とコロナ渦が引き金となり、AIの導入が進みました。詳しくは本記事で解説いたしますが、今後の小売業にAIの導入は必須と言えるでしょう。

小売業がAIを導入するべき理由4つ

小売業がAIを導入するべき理由は、下記4つの理由が挙げられます。

  1. 商品の発注ミスを軽減するため
  2. 効率的なマーケティングのため
  3. 人件費の削減のため
  4. 防犯のため

それぞれ順番に解説します。

商品の発注ミスを軽減するため

小売業界は仕入れた商品を、顧客に販売する事業ですので、なるべく発注ミスをなくすことが重要です。しかし、需要の予測が非常に難しく、商品を少なく発注したり、逆に多く発注したりしてしまうミスはどうしても起こります。
 
こういった発注ミスを軽減するためにも、AIは必須だと言えます。なぜなら、AIは顧客情報や商品情報を分析し、最適な発注数を予測してくれるためです。

効率的なマーケティングのため

小売業界だけでなく、ビジネスでは効率的なマーケティングが求められます。しかし、日本の小売業界の課題として、マーケティングの情報不足や人員不足が挙げられます。ただし、AIは効率的なマーケティングを行うための数値を出してくれるため、積極的なAIの導入が解決に繋がるでしょう。

人件費の削減のため

単純作業なら、AIで十分代行が可能です。そのため、AIを導入すれば単純に人件費の削減になりますし、労働時間の短縮にも繋がり、残業代や休日手当などの発生も抑えられます。
 
AI導入に初期費用は発生しますが、長い目で見れば人件費の大きな削減になるでしょう。

防犯のため

万引き被害を防ぐためにも、AIの導入を推奨します。たとえば、AIカメラには特定人物を検知する機能が付いており、警備員の役割も果たしてくれます。万引きしそうな人物を探知すると、従業員のスマートフォンに通知するため安心です。

小売業がAIを導入する5つのメリット

前項では小売業がAIを導入するべき理由を解説いたしましたが、AIを導入すると小売業界では下記5つのメリットを享受できます。

  1. 発注業務を効率化できる
  2. 人手不足に対応
  3. 顧客の行動を分析できる
  4. 売上・今後の需要を予測可能
  5. 品質管理の簡潔化

それぞれ順番に見ていきましょう。

発注業務を効率化できる

AIを導入すると、発注業務を効率化できます。なぜなら、AIが商品の売れ行きデータを自動で分析してくれるためです。従来は、過去の履歴を見ながら人間の手で在庫管理を行っていたでしょう。
 
しかし人間が行う以上、発注ミスは付き物であり、正確性に課題がありました。ですが、棚の欠品状況や備蓄数からデータをAIに分析してもらえば、必要な発注数を簡単に把握できます。

人手不足に対応

AIが小売業界の人手不足に対応している実態は、すでに明らかでしょう。なぜなら、レジ業務をAIにより自動で行うコンビニやスーパーを始めとした小売店舗が、近所に多数あるためです。先述したように、マニュアル業務ならAIが代行できます。
 
つまり、任せられる業務はAIに任せることで、少ない人数でも営業できることに加えて、従業員1人ひとりの負担も軽減できます。

顧客の行動を分析できる

顧客の行動パターンが分かれば、売上を伸ばす戦略も立てやすいでしょう。実際、AIの活用で顧客の行動データの分析が可能です。決済データやECサイトの閲覧履歴で、顧客が興味を持つ商品の特徴や売れやすい商品の特徴を把握できます。

売上・今後の需要を予測可能

AIの活用で売上の把握はもちろん、売上データから今後の需要も数値で予測が可能です。
需要が分かれば、発注ミスも大幅に減るでしょう。

品質管理の簡潔化

小売業では、顧客に提供する商品の品質は非常に重要です。従来の品質管理は、スタッフが1つひとつ丁寧に検品していましたが、すべて人間がやるのは膨大な時間がかかったでしょう。
 
ですが、AIの画像判定を活用すると、検品にかかる時間を大幅に軽減できます。発注業務と同じく、品質管理も人間がやる以上、多少のチェック漏れは発生してしまうと思います。しかし、そのようなチェック漏れの防止に繋がり、商品の品質の維持や向上が可能です。

小売業がAIを導入する際の注意点3つ

小売業がAIを導入する際の注意点3つ

AIの導入にも、注意点が3つあります。

  • AIは人間より賢いわけではない
  • 導入・運用にはコストがかかる
  • AIに詳しい人材を採用or育成する

ここからは、それぞれの注意点を順番にご説明します。

AIは人間より賢いわけではない

まだまだAIは、人間より賢いわけではありません。つまり、AIが可能な業務には限界があるため、100%鵜吞みにするのは危険と言えます。そのため、多少は人間の目で確認する必要があるでしょう。

導入・運用にはコストがかかる

AIの導入にもコストがかかりますし、運用にあたって業務オペレーションを再構築するにも費用が発生します。そのため、まずは比較的簡単な業務で試運転するのが一般的です。

AIに詳しい人材を採用or育成する

AIを活用して小売業を発展させるには、AIに詳しい人材が社内に必要です。そのため、AIの導入と同時に、AIに詳しい人材を採用する必要があるでしょう。もしくは、カリキュラムや研修を用意した上で、AIに強い人材を育てることが大切です。
 
「AIは人間より賢くない」と上述しましたが、AIの技術が日々進化しているのは事実になります。だからこそ、AIの進化に対応できるように、社員にも最新の技術を学ばせる工夫をしましょう。

【業種別】小売業のAI活用事例

小売業にも、さまざまな業種がありますが、それぞれの業種がAIをどのように活用しているか気になるのではないでしょうか。そこで、小売業のAI活用事例を下記の業種別にご紹介します。

  • コンビニ
  • 百貨店・スーパー
  • ホームセンター
  • 家電量販店

コンビニのAI活用事例

コンビニではAIを活用し、レジ業務の効率化を図る動きが目立っています。そのような中で、ファミリーマートがAIを活用した興味深い実験を行っています。たとえば、従業員の負担を減らすことを目的として下記のAI技術を導入しました。

  • 顔認証決済
  • 業務アシストシステム
  • 店内POP・電子棚札化

店内の札が電子化されると、貼り換え作業を行う必要がなくなりますし、顔認証決済があればレジ業務も最小限になります。
 
このような次世代型コンビニの実証実験店舗として、最新のAI技術を導入したファミリーマート・佐江戸店を2019年4月にオープンしました。
 
従業員の業務省力化だけでなく、顧客満足度の向上や店舗の清潔さを維持するべく、さまざまなAIを導入しています。
 

詳細はファミリーマート様の公式サイトをご参照ください。

百貨店・スーパーのAI活用事例

大手百貨店のイトーヨーカ堂では、接客や売場づくりの強化を目的に、2020年9月から全国132店舗にAIに発注を任せる仕組みを導入しました。

  • 価格や商品陳列の情報
  • 気温・降水確率などの天気情報
  • 曜日特性や客数などの基本情報

上記の情報をAIが分析し、最適な販売予測数を発注者に提案します。
 
2018年から実施しているテスト店舗では、上記の取り組みにより発注担当者が作業にかかる時間を約3割短縮できたという結果が出ました。
 
この結果により、営業時間中に在庫がなくなるトラブルも減少し、適性な在庫管理に繋がったようです。
 

こちらの詳細は、イトーヨーカ堂様の資料でご覧になれます。

 
また、スーパーマーケットを展開するトライアルも、レジを通さず会計ができる「スマートショッピングカート」を導入し人手不足の解消に繋がっています。

ホームセンターのAI活用事例

九州でホームセンターを展開するグッディは、AIを活用し在庫管理で大きな結果を出しました。3年間分の使い捨てカイロの売れ筋を、気温からAIに学習させ販売予測をさせたのです。
 

その結果、販売予測数と実際の販売数の誤差は、たったの2個という結果でした。したがって、AIの販売予測の正確性が高いことが分かるでしょう。ホームセンターのAI活用事例は、エーアイジン様の記事をご参照ください。

家電量販店のAI活用事例

ヤマダ電機は、アメリカの企業であるFellow Robots社の「NAVii」を試験導入しました。
 
「NAVii」は対話機能を持つ自律移動型のロボットで、カメラやマイクロフォンアレーで来客を探知し、売り場へと案内します。さらに棚に陳列した商品の在庫を画像認識で確認でき、1台で顧客の誘導と在庫管理の2役をこなす優れものです。
 
実際、日中は接客に専念し、夜は店内の在庫管理に勤しんでいるようです。
 

ヤマダ電機のAI導入事例は、日経クロステック様の記事をご参照ください。

AIは飲食店やサービス業でも大活躍

AIは小売業界だけでなく、飲食店でも活躍します。実際に大手の飲食店では、タッチパネルによる注文を始めとしたAIシステムがすでに導入されています。小売業界と同様、単純な業務はAIに任せることで、労力の削減や人手不足の解消に繋がるでしょう。

AIが使われている飲食店

AIが使われている飲食店をご紹介いたします。

  • ライズウィル(居酒屋)
  • 福しん(ラーメン・定食チェーン店)
  • 焼肉きんぐ
  • アンデルセン(ベーカリー大手)

たとえばライズウィルでは、AIで予測した来客数で人件費5%以上の削減に成功しています。その他AIでどのような効果があったかは、AI Market様の記事が参考になります。

AI接客がサービス業にもたらすメリット

AIは当然ながら感情を持っていないため、場の空気を読んで接客することは不可能です。
しかし、AI接客はサービス業に下記のメリットをもたらすでしょう。

  • 人手不足の解消
  • 人件費の削減
  • 外国語に対応

特に、外国語に対応してくれるのは大きなメリットではないでしょうか。小売業と比較しても、サービス業は外国人の顧客を接客する機会が多いはずです。しかし、外国語を話せる従業員も決して多くはないでしょう。
 
AIは他国の言語にも対応しているため、外国人の顧客の接客は安心です。

今後の小売業にAIは必須

少子高齢化の影響もあり、多くの業種が人手不足に悩んでいますが、小売業も例外ではありません。その他にも問題を抱えている小売業界ですが、AIの導入で解決できる問題は多数あるでしょう。AIを導入するメリットをまとめます。

  1. 発注業務を効率化できる
  2. 人手不足に対応
  3. 顧客の行動を分析できる
  4. 売上・今後の需要を予測可能
  5. 品質管理の簡潔化

AIに任せられる仕事は任せて、人間じゃないと不可能な業務に専念すると、店舗の売上を大きく伸ばせるのではないでしょうか。そのような背景から、今後の小売業界にAIは必須です。

まとめ

まとめ

小売業界でも、AIの導入が進んでいます。AIの導入で従業員の負担軽減や労働時間の短縮、また少ない人数でも店舗を回すことが可能です。
 
この機会に、ぜひAIの導入を検討されてはいかがでしょうか。近畿システムサービスでも、在庫管理や販売管理の労力を短縮できるシステムをご用意しております。
 
貴社の用途や、目的にあったシステムがないかチェックしてみてください。少しでも気になるシステムがある場合は、まずはお気軽に資料請求やお問い合わせをいただければと思います。

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