2024.05.31
免税システム

免税販売手続きの電子化とは?2026年導入の新制度「リファンド方式」も解説

免税販売手続きの電子化とは?2026年導入の新制度「リファンド方式」も解説

訪日外国人旅行者の増加に伴い、紙ベースで煩雑だった免税手続きは2021年10月1日より電子化が義務付けられ、大幅に簡素化されています。これにより購買データの自動送信が可能となり、税務当局への報告も容易になりました。

 

本記事では、この免税販売手続きの電子化の概要を解説します。また、2026年11月1日から実施される輸出物品販売場制度のリファンド方式についても紹介。電子化の具体的なやり方や購買者に対するマニュアルも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

近畿システムサービス管理部

近畿システムサービスは、店舗のトータルな提案を行うシステム開発会社です。免税システム、RFIDソリューション、電子署名等、多くの業種システムの開発実績がありますが、特に流通関連のシステムでは多数の実績とノウハウがあります。

「免税販売手続完全電子化」とは

「免税販売手続完全電子化」とは

2021年10月から「免税販売手続の完全電子化」が義務化され、輸出物品販売場(免税店)は、従来必要だった免税対象者による手書きの購入記録作成が不要となりました。代わりに、店舗側が購入者に制度の説明を行い、パスポート情報の読み取りや購入内容を国税庁へ電子的に送信する対応が求められています。ここでは、この免税販売電子化の背景やメリットをわかりやすく解説します。

 

いつから完全電子化が開始されたか

免税販売手続きは、2021年10月1日より完全に電子化された運用が義務化されています。それ以前は、2020年4月から段階的に電子化の運用が始まっており、2021年9月30日までは紙ベースの手続きも並行して使用できる移行期間が設けられていました。

 

対象となるのは、日本国内に店舗を持ち、訪日外国人旅行者(非居住者)へ免税販売を行うすべての「輸出物品販売場」です。既存の免税店も例外ではなく、制度に準拠した電子システムへの対応が求められました。

 

現在では電子化が免税販売の標準的な手続きとして定着し、現場の業務は大きく変化しています。

 

免税販売を電子化するメリット

免税販売を電子化するメリットは以下の通りです。免税店側と購入者側で見ていきましょう。

 

 メリット
 免税店側 ・書面での作成が不要で免税手続きの効率化が図れる

・税務当局への報告も容易になる

・デジタル管理により入力ミスや記入漏れのリスクが減る

・免税対象者の消費拡大につながる

 免税対象者 ・手続きによる待ち時間がなくなる

・簡単に免税品を購入できる

 

ペーパーレス化により免税手続きの効率化が図れ、事務作業が大幅に削減されました。また、免税データの自動送信で税務当局への報告も簡単に行えるようになりました。

 

さらに、外国人観光客の利便性が向上し売上増加が期待できる点がメリットで、免税店側では免税対象者の消費拡大にもつながります。

 

>>POSデータ連動の免税システムとは?電子化対応と業務効率化を実現

 

2026年11月1日開始!新制度「リファンド方式」とは?

2026年11月1日開始!新制度「リファンド方式」とは?
2026年11月1日から、免税販売制度に大きな変更が予定されています。それが「リファンド方式」の導入です。これまでのように、購入時点で消費税を免除する「購入時免税方式」から、購入時には一旦税込で支払い、その後に税額分を払い戻す方式へと移行します。

 

この変更により、免税店の運用や旅行者側の買い物の流れや手間にも変化が出てくると予想されます。以下では、リファンド方式の概要と導入の背景を解説します。

 

リファンド方式の概要:何が変わるのか?

現在の免税制度では、訪日外国人が指定店舗で一定の条件を満たして商品を購入した場合、その場で消費税が免除される「購入時免税方式」が採用されています。つまり、購入者は最初から税込価格より安く買い物ができる仕組みです。

 

しかし、2026年11月から導入される「リファンド方式」では、免税対象商品であっても購入時にはいったん税込価格で代金を支払い、後日所定の手続きを経て税額分を払い戻す形に変わります。払い戻しは空港や指定の返金窓口、またはオンラインを通じて行われる予定です。

 

この方式により、事業者側の不正防止が強化されるとともに、国税当局の監視や制度運用もより厳格かつ透明性が増します。

 

リファンド方式導入の背景と目的

リファンド方式導入には、主に以下の4つの目的があります。

 

  • 手続きの利便性向上と効率化

従来の店頭での免税手続きでは、店舗ごとに個別の対応が必要でした。リファンド方式では、店舗で免税要件の確認など個別の免税処理から解放され、販売業務に集中できるようになります。

 

  • 消費喚起と観光誘致の強化

リファンド方式の導入は、手続きの利便性向上で店舗負担が軽減されることにより、今まで免税販売に踏み出せなかった地方の小規模店舗の参入を促進する効果が見込まれています。各地の特産品や伝統工芸品の販売を強化することで、都市部に集中するインバウンド消費を地方へ分散させ、地域経済の拡大や観光誘致の強化につながると期待されています。

 

  • 不正還付の防止と管理体制の強化

リファンド方式は、還付手続きを一元的に管理できる仕組みです。これにより、免税販売に関するデータの集約と分析が容易になり、架空の申請や複数回にわたる不正な還付請求などの行為を監視し、摘発する可能性が高まります。結果として、免税制度全体の健全性が保たれ、制度への信頼性が高まります。

 

  • 国際標準に合わせた制度整備

EU諸国など、世界の多くの国々で消費税の還付はリファンド方式が一般的です。日本も国際的な標準に倣って制度の整備を進めることで、訪日旅行者にも理解しやすく、安心して利用できる環境を整える狙いがあります。

 

参考:輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し|国税庁

 

免税販売電子化の準備と導入ステップ

免税販売電子化の準備と導入ステップ
2020年4月1日に義務化された外国人旅行者向け免税販売の電子化は、紙での書類作成やパスポートへの貼り付けを不要にし、店舗の運用を大きく変えました。これから免税販売を行う事業者は、この電子化の具体的な対応をしっかり押さえておきましょう。

 

免税販売の電子化をスムーズに進めるには、適切なシステム環境の構築と、所定の手続きを確実に行うことが求められます。ここでは、設備の準備から申請方法、承認送信事業者の活用、さらには他社システムからの乗り換えまで、導入に必要な4つのステップをわかりやすく解説します。

 

システムの準備

免税販売の電子化を実現するためには、国税庁のシステムとデータの送信ができるインターネット回線や機器の準備が必要です。

 

次に、パスポート情報を読み取るための機器が必要となります。スマートフォンやタブレット端末のカメラ機能、あるいはスキャナーなどの活用で、購入者の旅券(パスポート)情報を電子的に取得します。

 

この旅券情報と購入物品の情報を組み合わせた「購入記録情報」を、インターネット回線を通じて国税庁のシステムに送信することが免税販売の電子化の流れです。事業者は、これらのネット環境と必要機器を事前に整備しておく必要があります。

 

自社申請か「承認送信事業者」への代行依頼かを決定

免税販売の電子化を検討する際、自社で申請を行うか、代行サービスを利用するかを慎重に検討する必要があります。自社申請の場合、システム開発や国税庁への手続きなど、事業者自身で対応する必要があるため、ある程度の専門知識と労力が必要です。

 

一方で、承認送信事業者を利用する代行サービスを選択すれば、手続きの煩雑さを大幅に軽減できます。承認送信事業者は税務署長の承認を得ており、免税データの送信を代行するため、事業者の負担が小さくなります。承認送信事業者には豊富な実績と知見があるため、スムーズな電子化対応が可能です。

 

近畿システムサービスは承認送信事業者で、免税電子化の他社送信サービスを提供しています。長年の実績と豊富な知見を持ち、免税店舗の電子化対応を円滑にサポートいたします。免税電子化に不安がある事業者は、ぜひ当社までご相談ください。

 

所轄税務署へ届け出を提出

免税店は、免税販売を行う店舗ごとに「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を、納税地の所轄税務署長に提出します。この届出書は、国税庁のWebサイトからダウンロードが可能です。

 

他社の免税システムから乗り換える場合

他社の免税システムから乗り換える場合は、承認送信事業者が変更になるため、国税庁へ「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の変更届出書」の提出が必要です。この手続きを行うことで、免税販売の適切な管理と免税制度の円滑な運用が可能になります。

 

免税手続き電子化の店舗向け実践ガイド

電子化後は免税対象者に対しての確認事項や説明などを行います。ここでは免税手続きを行う流れを解説します。

 

①購入者に免税を希望するか確認

免税店で、商品の会計手続きと免税手続きの際は、まず消費者が免税を希望するかどうかの確認をおこないます。消費者が免税を希望する場合は、消費税が免除される免税販売となりますが、希望しない場合は通常の課税販売となります。

 

ただし、誰でも免税対象となるわけではないので注意しましょう。

 

  • 外国籍を有する非居住者で「短期滞在」「外交」「公用」の在留資格を有する者
  • 船舶観光上陸許可や乗員上陸許可を得た者
  • 一般物品物と消耗品での購入金額が税抜で5,000円以上50万円以下の場合
  • ※同時に消耗品・一般物品を購入した場合でも、それぞれでの免税処理が可能

    ※リファンド対応後は、商品区分は撤廃され「税抜で5,000円以上」となります

  • 国外に2年以上居住する日本人

 

なお、一般物品のみ購入した場合は、上限の金額はありません。

その他にもいくつか条件があるので、詳しくは下記の記事をご覧ください。

 

>>免税対象者とは?免税制度や企業が得られるメリットについて

 

②購入者に免税手続きの説明をおこなう

免税店は免税販売の際に、購入者に対して必要事項を説明する義務があります。主に以下のような説明が必要です。

 

  • 国外へ輸出するために購入したものであるか
  • 出国する際は所轄税関長に旅券等を提示する必要があること
  • 出国時に免税対象物品を所持してなかった場合は、免除された消費税額に相当する額を徴収されること

日本語での説明が難しい方のため、店頭に免税制度のポイントを記載したリーフレット(英語)を設置しておくことをおすすめします。

 

③パスポートやその他必要情報を読み取る

パスポートを提示してもらい、購入者の氏名、国籍、パスポート番号、上陸年月日、在留資格などの情報を確認します。この購入記録情報を免税システムに入力して国税庁に送信します。

 

④商品の引き渡しと案内

すべての項目が完了したら、あとはお客様に商品をお渡しします。

 

 

失敗しない承認送信事業者の選び方

失敗しない承認送信事業者の選び方
承認送信事業者を選ぶ際は、まず国税庁の承認要件を満たしているかの確認が重要なポイントです。また、システムの機能性、セキュリティ対策、操作性、サポート体制などを総合的に比較検討し、自社の業務に最適なサービスを選ぶ必要があります。

 

また、免税電子化手続きをスムーズに行うには、パスポートやレシートの自動読み取り機能が不可欠です。POSレジシステムと決済端末との連携により、データの一元管理や自動計算、送信が可能になります。これらのサービスを実施している承認送信事業者を選ぶことで、店舗の業務効率化と正確な免税手続きができるでしょう。

 

近畿システムサービスは、免税システムをはじめ多岐にわたる業界向けのシステム開発に長年携わってきた実績があり、豊富な知見と高い技術力を誇ります。面倒なパスポートの転記作業はパスポートスキャンを行うだけで自動化ができ、従来は手作業だった業務が不要になります。

 

据え置きタイプやハンディタイプなど、貴社のニーズや予算に合わせた製品・料金プランをご用意しているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

>>近畿システムサービスの免税電子化システムTaxtiS

 

まとめ

免税販売手続きは2021年10月1日から完全に電子化され、紙での記録やパスポートへの貼付が不要となり、店舗業務の効率化が大きく進みました。クラウド管理や多言語対応、POSレジ連携などを取り入れることで、よりスムーズな運用と訪日客へのサービス向上が実現します。

 

さらに、2026年11月からは消費税を後日還付する「リファンド方式」への移行も予定されており、制度変更への備えも必要です。今後は柔軟かつ持続可能な免税運用体制の構築が不可欠です。

 

近畿システムサービスでは、承認送信事業者として364日(元日を除く)のサポート体制を整えており、送信代行のみのご依頼やコストを抑えた導入にも対応可能です。免税電子化や新制度への備えが気になる方は、まずはお気軽に資料請求・ご相談ください。

 

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