2019.02.01
デジライター

電子契約書とは?電子署名や仕組みについて

電子署名もしくは電子契約書、という言葉は徐々に認知され始めていますが、まだまだその中身を詳しく知っている方はあまり多くないのではないでしょうか。
電子署名や電子契約書は、実は日常生活やビジネスシーンなど、様々な場面で利用されています。
ここでは、電子署名および電子契約書に関わるあらゆる詳細をご紹介し、ぜひ参考にしていただければと思います。

近畿システムサービス管理部

近畿システムサービスは、店舗のトータルな提案を行うシステム開発会社です。免税システム、RFIDソリューション、電子署名等、多くの業種システムの開発実績がありますが、特に流通関連のシステムでは多数の実績とノウハウがあります。

電子契約書とは

電子契約書とは、インターネットにて電子契約を交わした電子署名付きの電子文書のことを指します。
ここ数年で、電子署名法など関連した法の整備や電子証明書が徐々に浸透してきたことから、電子契約も少しずつ広がりを見せています。
 
電子契約において重要なのは、電子署名とタイムスタンプ、そして電子署名が正当なのかを見極める電子証明書になります。
紙ではなく電子文書による電子契約にはどんなメリットがあるのか、2つを対比させながらご紹介していきたいと思います。

電子契約書のメリット

電子契約書のメリットとしては、従来の契約書のように印紙を貼り付ける必要なく、その分のコストを浮かせられる点にあります。
また、契約書はサーバーで一括管理することができるので、事務作業の効率化や社内コンプライアンスの向上にも繋がります。
 
このように業務におけるさまざまな面を効率化し、作業やコストを削減できるのが電子契約書のメリットと言えます。

印紙が不必要

紙の契約書の場合、課税文書に該当するため、契約金額に応じて印紙を貼り付けなければいけません。
しかしながら電子契約書の場合は課税の対象外にあたるため、印紙を貼り付ける必要はなく、その分のコストが浮くメリットがあります。
契約書を交わす機会が多い建設業や工事業、運送業や流通業、不動産業や製造業などは、印紙税を大きく削減できる効果が特に期待できます。

一括管理によるコンプライアンスの向上

基本的に企業は多くの取引先と契約を交わす機会が多いため、数多くの契約書の厳重な保管もそうですが、適切なタイミングで契約を交わしているのかを確認するのも困難でした。
電子契約書はサーバーに保管することになるため、全てを一括管理できるメリットがあり、セキュリティを高めるだけで紛失や毀損などの危険性を低下させることができます。
 
また、バックアップを取れば、何か問題が起きた時にも対処できる可能性がグンと上がります。
そして契約を交わした取引先や日時、契約金額など属性ごとに検索できるようにすることで、簡単に過去の電子契約書を検索できるメリットがあります。
 
電子署名による改竄リスクの低下と、一括管理によるコンプライアンスの向上は、企業間の取引においてとても重要なファクターになるのではないでしょうか。

事務作業の効率化

契約書は法律により7年間保管しなければならないため、物理的な保管スペースが必要で、数が多ければ多いほど、探すことにも手間が掛かります。
しかし電子契約書であれば、電子ファイルとしてサーバーに保管すればいいだけでなく、探す手間もありません。そのため、レンタルサーバーではなく自社サーバーの場合のみ、設置スペースが必要となります。
 
また紙の契約の場合、入り用の際には郵送や持参などの作業が必要でしたが、電子契約書はインターネットでやりとりするため、その手間も無くせます。
このように電子契約書は、印紙税やコンプライアンスだけでなく、電子契約書を取り扱う方の事務作業の効率化を図れるメリットがあります。
 
>>電子署名のメリットやデメリットの詳細はこちら

電子署名とは

電子署名とは、インターネットで送られてきた電子文書が改竄や偽造がされていないかなど、文書の正当性を証明する方法で、現実世界における署名や捺印のイメージです。
電子文書が仮に改竄や偽造、はたまた成り済まして作成されたとしても、以前まではそれを証明するのは困難でした。
 
しかしながら電子署名は、電子文書が本人によって作成されたという本人証明と、改竄されていない事を示す非改竄証明の役割を持っています。
そのため、電子署名がされた電子文書には正当性があると認められ、実際に捺印と同等の法的効力を持っている、と保証されています。

電子署名の仕組み

では、なぜ電子署名がされていると電子文書の正当性が認められるのでしょうか?
それは、「公開鍵暗号方式(PKI)」と呼ばれる暗号化の技術を用いた仕組みと、電子署名の正体が電子データだからです。
電子署名をする人は、秘密鍵と公開鍵(電子証明書)と呼ばれる2つの暗号鍵を所有する必要があるのですが、暗号鍵は認証局(CA)と呼ばれる機関にまずは発行してもらわなければなりません。
 
電子文書を作成し、ハッシュ関数と呼ばれる関数でデータ(電子文書)からハッシュ値を抽出し、秘密鍵を用いて暗号化させたものが、電子署名となります。
 
そして、電子署名が添付された電子文書と公開鍵を送り先に送信し、受信者は受け取った公開鍵を用いて電子署名の復号と、電子文書からハッシュ値を抽出します。
復号されたハッシュ値と抽出されたハッシュ値が同一だった場合、電子文書は第三者に改竄されないで秘密鍵の持ち主が作成した、という証明がなされたという事になります。
 
その後、公開鍵が電子証明書として本物かどうかを確かめるために、受信者が認証局に確認してもらう必要があります。
ハッシュ値が同一で、公開鍵(電子証明書)がきちんと認証局から発行されたものならば、本人が電子文書を作成したという事になります。
 
>>電子署名の有効性についてはこちら
>>電子サインと電子署名の違いはこちら

タイムスタンプとは

タイムスタンプとは、電子文書にいつ署名が行われたのかを確認するために必要なもので、署名者は電子署名と同時にタイムスタンプも埋め込まなければなりません。
タイムスタンプは、埋め込む際に電子文書が存在していたこと、埋め込んだ後に文書が改竄されていないことを証明する役割を持っています。
 
信用の置ける第三者機関のタイムスタンプであれば、電子文書の正当性をより高められます。
埋め込む際には、データ通信協会から認められた、正しい時刻を管理できるサーバーによるタイムスタンプが用いられているケースが増えています。

ハッシュ値とハッシュ関数とは

ハッシュ関数とは、データ(電子文書)の値を固定長の値に置き換える関数のことで、抽出された値をハッシュ値と言います。
元のデータが少しでも異なれば、同一のハッシュ値が抽出される可能性はほぼ低く、またハッシュ値だけで元のデータを推測するのも困難です。
そのため、電子署名に限らず暗号化の補助やユーザー認証などにもよく用いられています。

電子証明書とは

電子証明書とは、いわゆるインターネットにおける身分証明書で、電子署名が本当に本人によって行われたのかを確認する役割を持っています。
先程ご紹介した公開鍵が電子証明書にあたり、この場合は公開鍵証明書という別名でも呼ばれ、認証局が発行しています。
 
公開鍵証明書以外にも、自己署名証明書や自己署名証明書、ルート証明書なども電子証明書に該当します。
 
>>電子署名と電子証明書の違いはこちら

電子契約書の導入にあたっての注意点

電子契約書の導入にあたっての注意点

取引先に対して使えるかどうかの確認

自社で電子契約書を導入できたとしても、電子契約の受信側の理解も必要になります。
電子契約は相手が同意することで締結するものなので、もし相手が電子契約を拒んで従来の書面により契約を希望した場合には、せっかくの機能も活かすことができなくなってしまいます。
そのため取引先に対して使用するさいは、電子契約による契約を受け入れているかどうか確認しておくことが大切です。

紙での契約が義務付けられているものもある

機密保持契約や雇用契約など、さまざまな契約に役立つ電子契約ですが、一部の契約においては書面での契約が義務付けられています。
例えば、労働条件通知書の交付や、宅建契約における重要事項の説明書などは、法令によって書面での交付が求められています。
ですので、契約をするさいは電子契約が利用可能かどうか予め想定しておきましょう。

運用コスト面

電子契約書を導入するさいは、コスト面に余裕があるのかどうかをしっかりと確認しておくことが大切です。
導入時の初期費用はもちろん、導入後の運用コストはシステムを継続して使っていくために欠かせないものとなります。
後々になって苦しい思いをしないためにも、運用期間やコスト面の計画を事前に組んでおくといいでしょう。

まとめ

電子契約が浸透し始めている現状に鑑みて、電子署名の詳細から電子契約書についてご紹介していきました。
電子契約書が当たり前のように交わされる事はまだまだ先かもしれませんが、将来を見据え、電子署名も含めて理解を深めておくことは損ではありません。
ぜひ、皆さんの参考にしていただきたいです。

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