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お酒の販売を始めるには「酒類販売業免許」の取得が必要ですが、その際、必ず「酒類販売管理者」を1人選任しなければなりません。管理者は一定の要件を満たす必要があり、選任後も3年に1回、酒類販売管理研修を再受講することが義務付けられています。
これらを遵守することは免許を維持するための絶対条件であり、怠ると罰金や免許取消しといった重大なリスクを招く恐れがあります。
本記事では、選任要件や具体的な役割、研修の受講方法から義務違反の罰則まで、実務に役立つポイントをわかりやすく解説します。健全な店舗運営のために、ぜひご活用ください。
目次
酒類販売管理者とは?

酒類販売管理者とは、お酒を販売する店舗で、適正な販売を行うために配置される責任者のことです。
酒類販売管理者制度では、酒類販売業者に対して、販売場ごとに酒類販売管理者を選任することが法律で義務付けられています。この管理者は単なる名義上の責任者ではなく、酒類販売に関する法令を遵守しながら、健全な販売環境を維持する役割を担っています。
酒類販売管理者制度の目的と背景
なぜ、このような制度が設けられているのでしょうか。それは、アルコールという商品が持つ社会的な影響力に理由があります。 お酒は適切に扱われなければ、未成年者の飲酒やアルコール依存症といった健康被害、さらには飲酒運転などの重大な事故を招く恐れがあります。これらを防ぎ、健全な社会を守るために、販売現場に専門知識を持った責任者を配置し、適切な販売管理を行うことがこの制度の目的です。
販売場ごとの選任と専任ルール
知っておきたい大切なポイントは、選任の単位です。会社に1人いれば良いわけではなく、原則として販売場(店舗)ごとに1人を選任しなければなりません。
例えば、同じ建物内に複数の独立したレジや売場がある場合、それらが一つの販売場として免許を受けていれば管理者は1人で足ります。しかし、売場ごとに別々の免許を受けている場合は、それぞれの免許(販売場)に対して1人ずつ、合計3つの免許があれば3人の管理者を選任する必要があります。
また、管理者は店舗の運営を実効性をもって管理・監督する必要があるため、複数の店舗を掛け持ちすることは原則として認められていません。各店舗に専任の責任者を配置することが、免許を維持するための基本ルールとなります。
酒類販売管理者の業務内容と役割

選任された酒類販売管理者は、従業員等に対し、酒類の適正な販売管理を確保するための助言や指導を行う実務的な義務があります。
販売場の管理・監督
酒類販売管理者は、消費者が迷わず適切に購入できるよう、売場環境を整えます。
まず、表示義務として、陳列場所に20歳未満の者の飲酒禁止などを明瞭に掲示します。看板のサイズや視認性には指針があるため、ガイドラインに沿って対応する必要があります。
また、酒類と他の商品を明確に区分し、誤認購入を防ぐ工夫も求められます。特に酒類と紛らわしいノンアルコール飲料については、物理的な仕切りやPOPを活用した分かりやすい陳列が強く推奨されます。
さらに、現場での年齢確認が確実に行われるよう、マニュアル整備や運用のチェックを行います。セルフレジ導入店でも、店員による目視確認が正しく機能するよう監督することも重要な業務です。
従業員への指導・教育
酒類販売管理者だけでなく、実際に接客を行う現場のスタッフ全員が適切な知識を持ち、共通の認識で動ける環境づくりが重要です。
酒類販売管理者は、関係法令や年齢確認の実施方法について、定期的な社内教育を行います。特に入れ替わりの激しいアルバイトスタッフに対して、採用時から適切な講習を行う体制を築くことは管理者の重要な役割です。
また、トラブルを未然に防ぐバックアップも必要です。年齢確認に応じないお客さまや代理購入の疑いがある場合、スタッフが自信を持って販売を断れるよう判断を支え、組織として対応する姿勢を示すことが求められます。
行政との窓口・改善対応
税務署などの行政機関から調査が入った際やルール運用改善を求められた際、その窓口として対応します。
改善勧告を受けた場合は速やかに店舗のオペレーションを修正し、報告を行うことで、店舗の免許を確実に守る役割を担います。定期的に行われる酒税の報告(酒類の販売数量報告など)に関しても、酒類販売管理者として内容に誤りがないかチェックする責任があります。
酒類販売管理者の選任要件と資格
酒類販売管理者は、国税庁の指針に基づき、主に以下の要件を満たす必要があります。
管理者になれない人
以下の欠格事由に該当する人は、法律上、酒類販売管理者として選任することができません。
- 20歳未満の者:成人年齢は18歳に引き下げられましたが、飲酒に関する法令や管理者の選任要件では、引き続き20歳以上であることが求められます。
- 法令の違反歴がある者:酒税法や未成年者飲酒防止法などに違反し、罰金刑に処せられたり、禁錮以上の刑の執行を終えたりしてから、法令で定める一定期間を経過していない人。
- 適正な業務執行が困難な者:精神の機能の障害により、酒類販売管理者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、意思疎通及び判断を適切に行うことができない人。
これらは、管理者選任届を出す際に厳密にチェックされます。
継続的な雇用関係があること
酒類販売管理者は、その販売場に継続的に勤務できる立場の方から選任することが義務付けられています。雇用形態については、基本的には正社員や長期勤務が見込まれるパート、アルバイトが対象となります。
一方で、1ヶ月未満といった極めて短期間の契約雇用や一時的な派遣スタッフの方を選任することは認められません。また、登記上の役員であっても実際に店舗にほとんど出向かないような方を選任した場合は、実効性のある監督が不可能と判断され、指導の対象となります。
他の販売場との兼任をしていないこと
選任される販売場に対しては、原則として専任であることが求められます。管理者は販売現場に常駐し、日常的な販売実務を責任もって監督する役割があるため、物理的に離れた他店の管理者と兼務することは原則としてできません。
ただし例外として、極めて近接した場所にあり、かつ同一の経営者が管理している特殊なケースにおいては認められることがありますが、その判断には事前に管轄の税務署へ確認を行い、個別に了承を得る必要があります。
酒類販売管理研修の受講から選任・届出までの流れ
税務署への選任届出には、原則として酒類販売管理研修の受講証の写しを添付する必要があります。そのため、あらかじめ研修を受講したうえで選任の手続きを進めるのが、実務上のルールとなっています。
ステップ1:酒類販売管理研修を受講
管理者の選任には、選任日時点で有効な(受講から3年以内の)受講証が必要です。研修は予約制で、地域によっては数カ月先まで満員となるケースもあります。交代や開店が決まったら、直ちに国税庁HPで日程を確認し、選任日までに受講を完了しましょう。
ステップ2:酒類販売管理者を正式に選任
研修を修了した者がそのまま販売場の管理者として役割を担うことになります。新規開店や前任者の退職など、管理者が不在となる状況が生じた場合には、研修を終えた適任者を速やかにその職に充てることを社内で決定します。
ステップ3:2週間以内に税務署へ届け出
管理者の選任が決まったら、その日から2週間以内に管轄の税務署へ選任届出書を提出しなければなりません。この届け出には研修の受講証の写しを必ず添付してください。届け出は、税務署の窓口への直接持参、郵送、e-Taxを利用したオンラインでの手続きが可能です。
ステップ4:3年ごとの再受講
酒類販売管理者は、一度研修を受ければ終わりではなく、前回の受講日から3年以内ごとに再受講することが義務付けられています。これは、法令の改正や社会情勢の変化に対応した最新の知識を維持するためです。再受講を怠ると、改善勧告や免許取消しの対象となるリスクがあるため、期限管理には細心の注意が必要です。
酒類販売管理研修の受講方法

ここでは、酒類販売管理研修の申し込み方法から費用、受講内容まで、事前に確認しておくべきポイントをまとめました。
申し込み方法
研修は財務大臣が指定した団体によって実施されます。最新の実施スケジュールや、どの団体が指定されているかは、国税庁ホームページ「酒類販売管理研修実施団体の指定状況等及び研修実施予定について」から確認できます。
受講費用
受講料は通常4,000円〜6,000円程度ですが、各協会の会員(コンビニやスーパー、チェーン店など)であれば、2,000円〜3,000円程度の会員価格で受講できます。
近年、オンライン研修の普及や物価高騰に伴い、実施団体ごとに価格改定が行われています。正確な金額や支払い方法は団体ごとに異なるため、必ず各協会のホームページで確認するか、小売酒販組合の場合は直接電話で問い合わせるようにしましょう。
所要時間
研修は概ね3時間程度の集中形式で行われます。数分の遅れでも受講が認められない場合があるため、遅刻は厳禁です。
受講内容
研修では酒税法の基礎知識や適正な販売実務を学びます。具体的には、表示義務や年齢確認の徹底、陳列ルールに加え、未成年者飲酒防止といった社会的な問題についても理解を深めます。
受講後の対応
研修受講後は、法令に基づき、販売場に必要事項を掲示する義務があります。
標識の掲示ルールと記載内容
販売場ごとに、酒類販売管理者に関する標識をレジ横やお酒の陳列棚付近など、公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません。インターネット販売の場合は、商品ページや特定商取引法に基づく表示ページ、または専用の管理標識ページなどに掲載する必要があります。
記載が必要な項目は以下の5つです。
- 販売場の名称及び所在地
- 酒類販売管理研修受講年月日
- 酒類販売管理者の氏名
- 次回研修の受講期限
- 研修実施団体名
国税庁のホームページにひな形が公開されています。また、受講証の中に標識が記載されている場合は、その受講証自体を掲示しても問題ありません。
受講証の保管と行政への証明
交付された受講証は、税務署の調査時に3年以内の受講を証明する唯一の書類となるため、店舗で大切に保管しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q:管理者がお店にいない時間帯があっても大丈夫ですか?
A:常駐の義務はありません。ただし、夜間(23時から翌5時)に販売を行う場合や長時間(2〜3時間以上)不在になる場合、あるいは売り場が著しく広い場合などは、管理者に代わる責任者を指名して配置する必要があります。
Q:研修の最後にテストはありますか?
A:理解度チェックが行われますが、研修をしっかり聞いていれば不合格になることはまずありません。
Q:氏名が変わった場合、どうすればいいですか?
A:速やかに氏名変更届出書を提出し、店内の標識も最新の氏名に書き換えてください。
まとめ
酒類販売管理者は、店舗の適正な運営を支える実務上の要です。研修の受講、速やかな届け出、標識の掲示、および3年ごとの更新。これらを確実に遂行することが、健全な酒類販売の基盤となります。
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